子どもたちよ、前へ!

 新しい環境はどうだろう。

 期待に胸を膨らませている子もいれば、不安で心暗く沈んでいる子もいるだろう。新学期、新学年だからといって、みんなが明るい表情になれるとは限らない。とりわけ人付き合いの苦手な子はそうだろう。できれば、元気溌溂、縦横無尽に未知の体験にチャレンジして欲しいと思うけれど、それを押し付けるつもりはない。「頑張れ!」と常に励ましているけれど、少しずつ慣れることが自分にとって一番よい方法だと思えば、そうするべきだ。人それぞれだと思う。

 出だしがいいことにこしたことはない。しかし、出だしがうまくいかないからといって焦る必要はない。終わりよければすべてよし、ともいう。一喜一憂せず、前へ進んでほしい。粘り強く誠実に取り組んでいれば、必ず突破口はひらける。

 まず、現実のプラス面もマイナス面も冷静に受け入れること。見たい現実だけ見てはいけないし、受け入れ難い現実があるからといって感情的になってもいけない。できることをできる範囲内でやりきるための戦略を正しく練ることだ。

 目標が定まれば、日々の生活は、目標達成のための過程になる。いかに限られた時間を有効に使うか、合理的に行動できるかどうか、という現実的な選択の問題になる。

 正しい選択をしたつもりでも、結果がともなわないこともあるだろう。その時こそ、人は試されている。愚直にひたむきにやりきることができるかどうか、鋭く試されている。愚痴もいいたくなるだろう。うまくいかないことを他人のせいにしたくなるだろう。子どもが耐えなければならない負荷は、大人が想像している以上に大きいことがよくある。耐えられない時は相談してほしい。何かいい知恵を提供できると思う。共有できる課題をみつけ、協同作業で改善できることもあるはずだ。

 しかし、その試練を乗り越えられるかどうかは、最終的に本人自身の取り組み方に依る。誰も代わりを務めるわけにはいかない。とにかく、焦らずおおらかにやることだ。百戦して百勝できるわけがない。五十一勝四十九敗も、たぶん望めない。九十九連敗しても、最後の一勝にかけるぐらいの気持ちでいけばいい。

 だから、子どもたちよ、前へ進め。