偶然の連鎖と追っかけ

 不思議な連鎖は、「ウェブ進化論」に始まった。数ヶ月前のベストセラー。Web2.0という言葉を知ったのはこの本が最初。Googleと言えば「検索装置」、という愚かな思い込みを正してくれたのもこの本。ブログのもつ豊かな可能性を学んだのもこの本。羽生善治さんの語る「ITが将棋を革命的に変えていった現象」を最初に教えられたのもこの本だった。具体的に何がどう、というわけではないのだけれど、筆者の言いたいことが漠然としていてつかみそこねているところも多々あるのだけれど、この「はてな」の取締役に筆者がなったのも何かの縁なんでしょうね、たいへん親近感をもって読めた。
 で、連鎖は「編集者T君の謎」。以前に塾のサイトのほうでとりあげた「聖の青春」の著者が、週刊誌に連載したエッセイがまとめられた本。将棋界の内幕暴露的な話題が本ネタになるのは避けられないのだけれど、羽生善治さんの話が先の「ウェブ進化論」とクロスオーバー。どうやら僕は、この同時代に活躍する天才をまだよく知らないらしい、と気づいてしまった。
 で、羽生善治の追っかけ読書。「決断力」をまず読んだ。実に示唆に富む話が多い。「経験が必ずしも有利とは限らない」のあたりは、ちょっと脱帽。僕自身が知らず知らず、経験値の高さを誇る反面、得たものを守ろうとしていることを痛烈に看破された。あぁ凡人とは違う、見よ、この自己改革力を!と深い感動。
 で、「簡単に、単純に考える」。彼の意見の主な内容は、既知の事柄に属するのだけれど、対談だけにわかりやすくておもしろい。もっと将棋をきちんと知っていれば、羽生マジックの臨場感を棋譜から読み取れるだろうにと思うと、ヘボ将棋しか知らないわが身が恨めしい。
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書) 編集者T君の謎 将棋業界のゆかいな人びと (講談社文庫) 決断力 (角川oneテーマ21) 簡単に、単純に考える (PHP文庫)