LEC点描 生徒とのやりとり

 パートⅠ 先日のこと、授業の前
 「先生!夢の中まで出て来んでやぁ。『お前は、こんな無理数の計算もできないのかっ!』とか言われて、どうしようって思ぅたわぁ。めっちゃ焦ったんじゃけぇなぁ」
 「勝手に俺を登場させるな」
 「こっちが言いたいわぁ、なんで、夢の中でまで怒られんといけんのんよぉ!」
 「肖像権の侵害だな」
 「知らんわ、もう」
 パートⅡ きょうのこと、授業中
 「なんでそんなに速ぉぅ、計算できるン。もうそこのグチャグチャした計算みとるだけで頭痛うなるわぁ」
 「簡単だ、練習して慣れればいい。君なら実に簡単に踏めるステップでも、僕がやろうとしたら絶対できない。もし、僕が君にどうやったら、そんなにカッコよくステップできるのか訊けば、君は、練習したらできるようになる、と答えるだろう。同じことだ。君がダンスに注ぐ情熱とエネルギーと同じくらいの情熱とエネルギーで数学に取り組めばいい。こんなものすぐにできるようになる」
 「うん、わかったぁ、頑張るぅ」 

 「LEC・お喋り№2」を自称している(さすがに彼女も一目おく★★★★さんが№1で、自分は二番目らしい。それについては同意した)けれど、実は中間試験の5教科の総合平均は90点を越え、授業中ただひとり先生のあとについて英文を大きな声で音読している□□中学校の「優等生」である。おかげで内申は心配ない。心配どころか、「私は学校じゃぁ、性格がいいって言われとんでぇ」とのたまうくらいだから、ありったけの笑顔をふりまいて、おつりがくるぐらいの内申をもぎとってくるだろう。
 さて、しかし、馬鹿話を馬鹿馬鹿しくいつまで楽しくやっていられるかしら。合格最低点や偏差値といった数字が飛び交うようになったとき、果たしてその明るさが支えになってくれるのかどうか、そうなることを期待して、しばらくは、彼女らしくあるがままにやってもらおう。