岡山中学校

 校長先生はこの四月から着任されたとのこと。この学校のトップもよく変わる。お話はよくも悪くもふつう。でも強烈なキャラクターで、学校をひとつの方向にひっぱっていくってタイプであるようにはお見受けしなかった。堅実な管理者といった感じ。手腕はまったく未知数。
 広報担当のK先生。授業では駄洒落をよく飛ばすらしい。きょうは、今春の大学入試実績が、東大合格者5名をのぞいて、通年平均を下回っていたためか、例年のような明るさがなかった。僕はこの先生の素直な明るさと関西系のなまりのはいった歯切れよい口調を尊敬しているので、きょうはちょっと、あれっと思った。なんかあったの?
 副校長はあいかわらず紳士的。でも在校生をほめすぎ。まるで会場内の塾関係者の中に保護者でもいるんじゃないかって思わせるほど、子どもたちをヨイショしていた。冷静に考えて、そんなに出来のよい子ばかりじゃないはずだし、手のかかる子だっているだろうにねぇ。妙に誉めちぎるから、どうもかえって説得力をうしなっていた。
 で、きょうのメインは、東大・医学部コースの主任U先生。熱く指導を語る姿に嘘はない。漫画「ドラゴン桜」をモデルにガンガン押しまくっている雰囲気がよく伝わってきた。ただ、いささか漫画的でもある。Z会模試の偏差値平均で、岡山白陵を凌駕していることを誇るのはいいのだけれど、母集団の人数をちゃんと明らかにするぐらいの謙虚さはあってもよかったんじゃないかしら。たかだか30名足らずの少数精鋭集団と百数十名の学年全体を比べるのはフェアじゃない、という気がした。また、成績不振者にコース変更を迫ったり、退学を勧告してきたうえで、なし遂げられている成績アップを指導力の賜物とはちょっと思いがたい。
 うわべの数字にすべらないように、もっと一人ひとりの子どもがいかに成長しているか語るべきではなかったか。知的刺激を与えるためにさまざまな試みをおこなっていることは敬服に値する。しかし、そうした試みを通じて、生徒がどう変わり、どう成長しているか、ぜーんぜん伝わってこなかった。教師が全力で走っていくのはいい、しかし、生徒は本当についていっているのか、後ろを振りむくと誰もいなかった、ということにならないか。何かしら漫画めいた妄想にとらわれた。
 そして、もうひとつの難関大学コース。どうも、東大・医学部コースの人材補充のための養成コース、プロ野球で言えばファームの働きをしている印象を受けた。難関大学コースの子らの目標は、東大・医学部コースにあがること、っていう図式は分かりやすいけれど、意味のない劣等感やくだらない優越感が中学生の精神に悪しき影響を及ぼす気がして、ちょっと気になった。よく言えば刺激のある交流だろうけれど、、、
 はじめから、そういう仕組みをきちんと納得しているのであれば、タフな子にはよい学校。東大・医学部コースのレベルを維持するために、入学者を絞り込んでいる姿勢は涙ぐましい、とすら思う。軸をぶらさずにハイレベル志向を徹底していけばいつか花開くときがくるだろう。今はその過渡期。三年後に結果が出る。期待したい。