銀河学院中学・高校

 例によって、学校紹介videoから始まる。去年と同じものだったので、ぐっとテンションが下がった。次に校長先生。「政治経済情勢の変化と少子化によって、学校および学校に通う子どもにも大きな変化があって、、、、」と概論から始まるお話で、またテンションが下がった。そして、毎度おなじみの中高一貫6年コース長、吉岡先生のお話。校長先生や副校長先生の名前は記憶に残らないけれど、彼の名前は覚えた。一生懸命語る熱意にウソはない。いい学校にしようとしている。今年は、彼の次に、若手の先生が具体的な授業指導の説明をされていたのだけれど、広いバンケット・ルームの最後尾で聞いているうちに意識が遠のいた。失礼だよなぁ、と思いつつ、まぶたの重みを支えることができなかった。ごめんなさい、と思っていたら休憩。
 休憩時間にコーヒーとケーキ。コーヒーは、ホテルの人がひとりひとりポットから注いでくれるのだけれど、アメリカンを煮詰めた(?)ような酷い代物。いまどき缶コーヒーでも、もっとましな味がするぜ、と、寝起きで血糖値が下がっているせいか、瑣末なことに腹をたててしまったけれど、ケーキが近来稀にみるうまさであった。上品でいて癖のない甘みが実にしっとりと決まっていた。デコラティブではない、見た目も美しいフルーツの味もよいという逸品。過去16年間の学校説明会で食べたケーキの中でおそらく最高だった。おっと、まずしい話に脱線してはいけない。
 考えてみれば、きょう学校説明会に参加していた銀河学院のスタッフの説明会出席歴なんてせいぜい四、五年がいいところじゃないか、長くて七、八年か。若造の癖に偉そうなことを言うなって、よく怒られるけれど、説明会キャリアだけとりあげればたぶん僕は相当ベテラン。他の学校にも出てるしね。意味もなく定点観測してきたわけでもない。くだらん文章だけれど、説明会の報告はかなり残っている。あとから読み返してみて、的外れの感想を述べたことも中にはあるけれど、そんなに間違ったことは書いてない。人間に対する個人的な好悪も激しいほうだから、偏りもある。でも公正さを装ったことはない。いつだって、村上個人の立場を明確にして、偏屈な塾屋として率直に感想を述べてきた。
 だからといって、なんの自慢にもならないし、それで、この程度のことしか書けないのは、お馬鹿丸出しでどうしようもないのだけれど、とにかく、経験が邪魔して、退屈な説明や、プロフェッショナリズムに欠ける話、真実味のない綺麗ごとは受け付けなくなっている。
 そこに掬い取っていかなければならない、決して見過ごしてはいけない「語り」があれば、まちがいなく反応するレーダーは持っているつもり。そうしたレーダーに、昔々、盈進中学の校長だった杉原氏や、英数学館の教頭だった安井氏の言葉はビンビン響いてきた。時に間接的に、時に直接的にかかわりを持つ中で、真摯な教育者として尊敬せずにはいられない人間的な魅力に、いっそう魅せられていったものだ。LECのあり方にも少なからず影響を受けた。
 本来、僕にとって学校説明会とはそうした刺激を求める場であった。いまでも、某公立高校で進路指導の責任者として獅子奮迅の活躍をみせる畏友M氏が語る言葉は僕を熱くする。なぜなら、その言葉は生きており、人生そのものに根ざした深い実践に裏打ちされており、率直に矛盾を認める潔さがあり、体裁を気にする虚栄心はない、客観的な分析を現実的なデータで示す論理性があって、主観的心情を押し付けがましく情念的にしゃべる愚かさはない。それゆえ、共鳴し、共感し、信頼と尊敬に値する人となる。
 お前はアホか。学校説明会に、何を求めているんだ、って言われそうだけれど、たぶん、保護者が子どもの学校選びをする時に、学校説明会に赴く気分も似たようなものじゃないか。何か出会いを求め、信頼と尊敬に値する何かを探しに出かけていくのではないか。
 中学入試の試験日は、1月5日。近大福山・盈進・銀河の三校でバトルロイヤル。めでたい。だんだん理想に近づいている。暁の星と金光が1月6日にずれたのが惜しい。できれば、五校で一斉入試をしてくれればもっとよかった。
 どの学校に行くか、合格してから考えよう、ではなくて、子どもらが本当に行きたい学校に行くっていうあるべき姿になっていくだろう、とてもよいことだ。どうせ、三校そろうのなら、市立福山中の受験日にぶつけてみてもよかったのに。専願率は上昇、より優秀な児童が分散するため、どの学校もレベルはアップ、誰も損をしない、と思う。
 受験機会が減少する児童が不利益を被る、という話を気にする必要はない。本当に行きたければ、ちゃんと勉強すればよい。たかが中学入試程度の勉強をまともにできない子どものわがままに付き合うことはない。専願で不合格になるような子が、もし間違って合格したら、入学してから苦労するだけだ。身の丈にあった環境で、焦らずじっくり学習したほうが、結果的にその子のためであろう。
 そして、いつの日か、広大附属福山中の入学試験日に一斉に入試がおこなわれるようになったら、すばらしい。どの学校も福山でベストな学校であることを誇示し、正々堂々児童を募集し、一発勝負で決めていく!ああ、まぁ、妄想です。現実的な障害が多すぎて、無理。
 さて、司会の高橋氏はあいかわらず立て板に水、きょうも一人元気よかった。「お帰りの際に、本日のお土産をお受けとり」って話だったけれど、受けとらずに帰って、もうひとつごめんなさい。今年も事務の女性を困らせた。すみません、どこの学校でも受け取っていないので勘弁してください。
 そうそう、小学校の説明会がありました。月三万円の授業料にみあう内容になるかどうか、理念的にはしっかりしているし、施設もそこそこ、不安があるとすれば、スタッフにどういう人がそろうのか、というところ。定員どおり集まるかどうか、それも不安。パブリシティに問題がある。