溝掃除・英検・秋祭り

毎年、10月の第3日曜日はは、トリプル・アクセスを決める。
朝7:00から町内の溝掃除。圧倒的に熟練した手さばき脚裁きで鋤簾を操る壮年の方がいらっしゃって、いつ見ても惚れ惚れする無駄のない動きで、溝の底をきれいにしていかれる。真似しようとも真似できるとも思えない優雅な動きを横目でちらちら眺めながら、僕は僕なりに義務(義理?)を果たす。まぁ、参加することに意義があるということで許してもらおう。

9:30集合だけれど、9:00に来る奴がいるに違いない、と思ってやってきてみると、ピンポーン。やっぱりひとり待っていた。9:00ちょうどにあと二人登場。こちらの二人は9:30だってことは承知の上で早めに来たらしい。まぁいいことだ。遅れてくる奴より百倍よい。

定刻どおり、試験開始。問題は、子ども神輿の通過時間。ご挨拶をしなければならない。毎年、4級のリスニングと微妙にかぶる時間になる。10:30までならなんとか、10:30を過ぎるとちょっとやばい。ありがたいことに今年は10:22.遅すぎず早すぎず、絶妙の時間にいらっしゃってくださった。お神酒をいただく。ワッショイをしていただく。あな、ありがたや。

お昼。かねての計画通り、あさりシメジパスタに挑戦した。結果は▲。唐辛子の投入量を間違えて、レッドペッパーパスタと形容するしかない味付けになってしまった。それはそれで刺激的でなにやらエスニック風と言いうる出来上がりではあったのだが、イメージとのズレを埋め合わせられるものでもない。あさりを蒸した白ワインのせいか、それとも、唐辛子のせいか、食後に身体が火照る。おもしろかった、うまかった、でも、失敗だった。

穏やかな青空。今日本来出席すべきであった、鞆のお寺の集まりを想う。合掌。

午後も定刻どおり開始。
12時過ぎに来た少年が机の上で単語集を開いていた。珍しい光景なので「ほう、立派じゃん」と茶化すと「きょうまで何も準備してないので、1時間ぐらい単語を見てたってバチはあたらないかなっと」と、含羞を含んだ彼独特の韜晦に出た。「うむ、あたらない、大いに結構なことだ」と気の抜けたサイダーのような返事で受けた。
なりふりかまわずひたむきに単語を覚える生徒はとても好きだ。英語ができるようになりたいっていう純な気持ちがいい。でも、人前で単語集を開いて単語を覚えることに恥ずかしさを感じてしまう感性も理解できる。何事につけ、あからさまな姿勢や態度にきわどさを感じてしまうことは自然な感情だと思う。それぞれのスタイルでやっていけばいい。その子の人柄にあったやり方をみつけていればそれでいい。

で、午後の大名行列のご挨拶も無事終了。5級のリスニングと3級のリスニングの、ちょうど中間にドンぴしゃりはまってくれた。侍装束を身につけた方の中に見知った顔があった。破顔一笑、「娘がお世話になっております!」「あた、ど、どうも」としどろもどろでご挨拶。毎年、どなたかとお会いする。頭が下がる。この晴天でずっと歩き通しだ。衣装も暑そうだった。

5級終了。しかし、この子らは未済の10月学力テストに入った。英検自体は楽勝だから、そのあと3教科のテストをするだけの余力はあるのだろう。
3級終了。この子らは、何か重苦しい雰囲気で教室を去っていった。3級チャレンジ二度目の子が何人かいるけれど、どうもスカッとしたところがない。思ったほど点が伸びないかもしれない。明日の自己採点でいずれあきらかになること、今、気に病んでも得るところはないね、心配は明日しよう。

ドアを開け、01、02に風を通す。ああ秋だ。


静かな夜。中3の理科・社会が01で行われ、05では、高校生が三名自習。明日から10月下旬。気分は臨戦態勢。23日に、附属の願書を手に入れたらもう戒厳令。「ゆるい雰囲気」が一掃され、「スキのない張り詰めた空気」が充満し、ぴりぴりとした緊張感にあふれるなかで日々を過ごすことになるだろう。

目を閉じて覚悟を決める。その時が来た。