穏やかな懇談日和

朝はゆるゆると町内の溝掃除からスタートした。清掃終了後、ご近所の方から、小学校1年生の孫の学習についてお尋ねを受けた。学校の国語や算数の学習指導方法を真剣に論評する熱いお言葉に、あふれるような愛情を感じた。長靴を履き鋤簾片手に道端で、塾屋然とふるまうのも気がひけて、「そうですねぇ」と生半可な返答しかできなかったことを、今になって少し後悔している。もっと理路整然と所信を語るべきではなかったか、と、チクチクと胸を刺す思いが消えない。いや、語るべき所信など初めからなかったことを悔いているのか、小学校1年生に、漢字やひらがなをどう教えるか、計算をどう教えるか、僕に定見などありません、と正直に答えるべきではなかったか、まして、月に1回あるという、英語の授業(!)について、意見なんて何もありません、どうせ何の役にもたたないのだから、ほっとけばいいです、と。
 しかし、同じ状況が再現されたら、やっぱり、これからも、あたりさわりのない微笑を浮かべつつ、曖昧に同意を繰り返してしまうことだろう。

 懇談、きょうは枠外も含めて合計13セット、延べ260分。井戸端会議で意見を述べる回路は持っていないけれど、塾屋が塾の教室で、所見を述べられなかったら万事休す、塾屋の価値なし。間違ったことは語っていないと思うけれど、LEC的偏向はあったかもしれない。一般論の王国にすんでいるわけではないから、僕の個性が反映しない意見ならば、また塾をやっている意味もない。ということで、勘弁してください。

 朝、入塾説明のお電話を頂いた方、懇談中でしたのでご説明できませんでした。すみませんでした。よろしければ、また、ご連絡くださいまし。
ただ、連日、午前中は懇談を組んでいます。午後3時前後(正確に言えば、2:50−3:20)が絶対確実に空いていますので、できれば、その頃、お願いいたします。勝手を言ってすみません。

 と、お開きにしようと思ったら、
 高3S嬢が、01のドアから半身を乗り出し、
 「先生、同志社受かってた、ふふふ」
 「ええぇぇ! 何だよ、早く言えよ、そんな嬉しいこと!」
 「いやぁ、今朝の10時に携帯で見て、びっくりして、夕方、速達も来たんですけど、、ふふふ」
 「びっくりしたって、ダメだって思ってたわけ?」 
 「過去問より数学が難しくって、、、ふふふ」
 「ふーむ」
 「でも、送られてきたデータを見たら、そんなに悪くなかった、ふふふ」
 「何だ、じゃぁ、自信がついたじゃない」
 「ええ、まぁ。ふふふ」
 「で、やっぱり手続きは、、、」
 「しません。ふふふ」 
 「まぁ、これで、学校には義理をかえしたな。あとは好きにさせてもらおう」
 「ふふふ」

 ということで、長い一日、冴え返りの雨に打たれて帰るけれど、気分はこぶしひとつ分明るくなった。

 明日も頑張ろう。
 春半ば、まだまだ頑張ろう。