終日、雨だった。

NHKの連続TV小説「てっぱん」を不連続的に視聴している。尾道が舞台の間は、けっこう熱心にみていた。主人公の友人の父親が経営する造船所の舞台は、実は因島三庄町の「石田造船所」で、村上がガキのころからよく泳ぎに行った「ヤキバ」(火葬場があるのでそう呼ばれている浜)の近くに位置する。また、娘をよく遊びに連れて行った、因島大橋の下の公園にある恐竜像がオープニングにちらっと映ったりすると、それだけで感傷的な気分になれた。
大阪に舞台が移ってモチベーションが下がってみなくなっていた。ところが、ここ1週間分は、妻が録画していたものを集中的にみる機会にたまたま在宅していたので、ご相伴にあずかった。
で、以前からぼんやりと抱いていた感想が確信に変わった。これは、緋牡丹のお竜さんこと、富司純子演じる”田中初音”の物語である、と。前作の「ゲゲゲの女房」が向井君演じる「水木しげる」の物語になっていたのとよく似た構図で、実はヒロインはたんなる狂言回しにすぎず、物語の核を背負っているのは、本来脇役の祖母(田中初音)ではないか。
未成年の少女の自分探しと自己実現の苦闘のお話ではなく、少子高齢社会を、はかない血縁関係を捨てきれず、さりとてふりまわされもせず、雄々しくセルフ・コードにしたがって生き抜く高齢者の気高さを謳いあげるお話!? としてみれば、いろいろ納得がいくような気がした。
田中初音が凛として品よく「よっしゃ」と膝をうつとき、「よっ、お竜さん」と声をかけたくなる。少女の成長譚は、もう少女マンガにまかせておいてよい。高齢者の孤独な闘いこそ、連続TV小説で演じるべきテーマではないか。

明日は、午後4時オープンです。
中2の試験対策は4:00-7:00
よろしく。