受験生の親の務めを

 果たして塾に来ると、市立福山中の結果が二件メールで届いていた。
 
 ○1●1だった。

 お詫びのメールとお祝いのメールをそれぞれ送った。

 僕の評価では、ふたりに差はない。しかし厳然とした結果が出てしまうと、その事実しか残らない。
 かき乱されるような思いを封じ込めて仕事をしていると、児童がひとりドアを開けて、、、。思い切って尋ねると、

 ○1●2になった。

 「よし、附属対策がんばろう」と、努めてあかるくさわやかに言った。
 (可能圏にいたのにぃ、、、、、、、ひょっとして繰り上げ合格もあるか、いや、去年、LECの子らにはなかった話だ、ここで期待をもたせるのは、罪をつくるだけ、、、、)
 
 その後、昨日発表の高校入試で一件不明だった生徒にメール
「?」
「○!」
「あぁぁ、救われたあぁ」
 滑り止めなしの崖っぷちから、なんとかひとつ確保した。
 やれやれやれやれ、と安堵のため息を10回。

 そうこうしていると、生徒がぞくぞくどこどこ、いろいろごちゃごちゃ、
 英検受験者に、片端から自己採点をさせたら、中2の英検準2級受験者が42・41・40と出た。
 前回の合格ラインは42..例年、41前後。42は有望、41は見込みあり、40は厳しい、と判断。
 40の生徒に三回ぐらいマークシート(コピー)の数えなおしをさせたけれど、やっぱり40。.どうして、あとひとつが、、、と、思うけれど、それが現実。
 2級受験者が50と41に割れた。ラインは前回47。だいたい45前後。昨日50だった高1生がひとり、中2のチャレンジャーは圏外に沈んだ。完璧な力負け、時期尚早だったというべきか。捲土重来を期す!くすぶる思いを押さえ込んで、次の授業、次の課題へとすすむ。

 授業を終えて、自習室B・キッドの長時間学習をほめて、今晩は早めに帰すことにした。彼は見事に課題をすべてコンプリート。あと二日は、過去問演習で精密な取り組み方を教える予定。大学受験生と雑談しながら、ふとパソコンに目をやると、あぁあ、来てるぅ。

 小6の保護者から三件。言わずと知れた市立の結果。
 一件、件名を見た瞬間、うわゎぁぁぁ、
○1●3
 沈む、日本海溝の底まで沈んだ。しばらく動きが止まった。

 お詫びのメールをうつ。

 次の一件、慎重に開ける。文字が目に入っているのになかなか内容が読み取れない。
 あっと思った瞬間、心が軽くなった。
○2●3
 ふぅううぅ、と長い長いため息。

 お祝いのメールをうつ。

 次の一件、呼吸を止め、半分目をつぶって開ける。
○2●4
 ああぁぁあぁ、と椅子にへたりこむ。「涙」の文字が滲む

 お詫びのメールをうつ。

 気分はあがったり下がったり、完璧な分裂症状。
 心臓は倍速鼓動から三倍速鼓動へ。
 もう持ちません。
 一晩寝て(寝られなてくも無理やり寝て)、
明日、また、明日の務めを果たします。

 みんなぁ、よく頑張ったぞう!
 やりぬいた自分をほめていいぞう。
 僕は君たちを立派だと思う。
 本当によくやった。
 この一年で身につけたものは
 数え切れないくらいたくさんある。
 どのひとつも、お金をだしても買えないものばかりだ。
 誇りにおもっていい。
 そして、あと三日、もうちょっと頑張ろう。
 最高の自分を出すために、もうちょっと辛抱しよう!
 ゴールは目前だ!