きょうは塾に一番乗り。と言っても、いつも生徒より遅く来るフマジメな塾屋が、時に早めに来ただけのことであって、あまり名誉なことではない。
 午前六時にソファで目覚めた。早すぎたので、もう一時間余分に寝たけれどそれでも七時。ゆっくり新聞を読んだ。例によって朝食は抜き。土曜・日曜の朝は食べる気がしない。なぜだろう。
 昨晩、「シュレック3」を観た。よいできだった。CGはいっそう精度をあげていた。ストーリーは「アーサー王伝説」と「ハリーポッター」をパロッた、少年の成長物語。アンドリュウ・アダムソンにしては地味で手堅い気がした。シュレックの父親になる戸惑いと喜びも妙に丁寧に描かれていて、以前のような毒が懐かしい。大人も子どもも楽しめるファミリーアニメ路線で、これからも続編を作る作戦とみた。
 劇中、三人のお姫様が、囚われた部屋から今すぐ脱出すると宣言するフィオナ姫の言葉にあわせて、即時反応したリアクションが、「助けをまつポーズ」。笑い転げてしまった。そしてお約束どおりの反転があって、三者三様のファイティング・スタイルで「自分で解決する戦うお姫さま」に変身する。こうしたカリカチュアが優れて教育的配慮のもとに成り立っていて、いじめられっ子だったアーサーの自立につながる。僕としては、しかし、敵役のチャーミング王子が、さまざまな童話で悪役を演じたキャラクターたちを煽動した「どんな物語にも二面性がある」という言葉が心に残った。
 本編が終わったあと、家人と娘が特典映像を楽しんでいる間に、僕は轟沈。そのまま朝まで寝てしまったという次第。ストレートに笑い転げて楽しんだせいか、熟睡した。夢のかけらすら記憶にない。常識的にはさっさと寝たほうが心身によいであろうけれど、お生憎様、時に、不健全な悪徳のもたらす快楽こそ、ねじれた塾屋をリフレッシュするパワーソースになる。