「先生、明日は卒業式なんよ」と少女は言った。

小5の女の子が言った。

「去年もわんわん泣いたから、明日もたぶん泣く」と。

耳にして、ふーん、そういうもんかね、と思ったけれど、
厳粛な儀式がとどおこりなく進行し、湧き上がる感情を抑えきれずに涙するのは悪いことじゃない。

しかし、全員が感動する必要もない。うんざりするような気分でさっさと出て行きたい、と思っていたら、涙なんかこぼさないだろう。

卒業する人の気持ちは、人それぞれでいい。
ただし、他人に自分の感情を押し付けない礼儀はわきまえた方がいい。感動や感激の押し売りは困るし、場の雰囲気を尊重しない態度もいただけない。自分の気持ちを尊重してもらいたければ、まず、他者の心を気遣うべきだから。

いずれにしても、いい卒業式になりますように。

6年間、子どもの成長を見守られてきた保護者の皆さんに、おひとりおひとり特別の感慨があるのは確かなこと、心に残る卒業式になりますように。

子どもたちの未来がより大きな希望に包まれるステップとして、卒業式が執り行われるように願ってやみません。

あらためて、いい卒業式になりますように。