あれもこれも

 3人の生徒と共通テストの自己採点結果を検討した。

目論み通りにいかなかったこと、悔しかったこと、色々聞く。

 

 ひとつひとつの点数に溢れるような思いが宿っていることが、伴走してきた村上にはよくわかる。よくわかるからと言って、正しい判断ができるとは限らない。必ずしもすぐれた洞察を示すことができるわけではない。あやふやで曖昧なことしか言えない、示せないことが多い。結果として塾屋として忸怩たる思いに沈むことが多い。

 

 中学受験生の適性検査対策もあとわずかになった。ここへきて伸びる子がでてくるのは毎年のこと。覚醒と呼んで差し支えない変貌ぶりをみせてくれる。「成長」とひとくくりにしにくいほどの「急成長」。たぶん、何が変わったわけでもなく、もともとそうした力をもっていたのだ。継続して水を注いでいると、容量の大きい容器もいつかあふれ出す。学力が伸びるとはそういうことを言う。

 

 高校入試の渦中にいる子に、昨日、一昨日の出来栄えを尋ねた。「数学でやらかしました」と自嘲気味に語る。よほど悔しかったのだろう。ふだん、そうした表現はめったにしない。反射的に「大丈夫、大丈夫」と言葉をかえした。過ぎたことを引きずってしまうと、明日以降の試験に障る。切り替えて出直す。それしかない。

 

 あれもこれも劇的に目まぐるしくうつりかわりながら、塾屋の夜はふけていく。

 冬型の気圧配置が強まり、週末には寒波が来るらしい。受験生の体調に異変がおきないことを祈る。

 

 明日は、自宅で溜まった仕事をかたづけよう。