Maybe not today, maybe tomorrow, but soon, and for the rest of your life

先日、進路相談を受けたとき、思い出したフレーズ。
 
生徒が話に来た。
「***になりたい。だったら専門学校でもいいのじゃないか、現に、専門学校を出て***になっている方にお話をうかがったら、その方は専門学校で後悔していない、とおっしゃった。先生はどう思うか」

「その方は、まだ20代前半でしょ?たぶん、20代は後悔しないと思う。若さと情熱でやっていけるから。

でも、そのうち、もっと色々な勉強をしておけばよかったって思うときが必ず来ると思う。二年で身につく知識と技術なのに、四年もかけるのは無駄に見えるかもしれないけれど、そうじゃない。その間に学ぶいろんなことや、いろんな出会いは、必ず君の人格の幅を広げて深くする。

のっぴきならない現実に若くして直面してしまうとね、どうしても経験至上主義的になって、多角的な視野を見失いがちになってしまうことが多いの。自分の経験しか語れないから、自分の経験にこだわって、それ以外の発想や考え方を許容できなくなる傾向が強い。

そういう人々からすれば、無駄に四年間大学通うことには何の意味もないことになるけれど、僕はそうは思わない。多様な発想や、柔軟な考え方は、時間や精神にゆとりがあって、遠回りしたり、停滞したりしながら身につくものであってね、最短距離をギリギリのスピードで突っ走っていると、なかなか身につかない。いざ、実社会に出ると日々の仕事に追いまくられて、ゆっくり勉強なんかできない。だから、できるうちに勉強はしておくもんだよ。

親の脛をかじれるうちは、遠慮せずにかじっちゃえ。ただ、君の息子や娘が君の脛を齧り始めたら、覚悟をきめることね、順番だから、君がやったとおりに、君の子どもらも君の脛を齧る。覚悟はしておいたほうがいい。

いいかい、後悔するかしないか、そんなに簡単には予測できない。たぶん、20代は後悔しないだろう、でも、子どもが生まれたとき、あるいは、家を建てたいと思って住宅ローンを組むとき、あるいは、老後の資金を考え始めたとき、あるいは転職を真剣に考えなければならないとき、大学を出ていなかったことを後悔しないと言いきれるだろうか。情緒的に割り切ることのできない状況が迫ってくる可能性はあるぜ。

悪いことは言わない。まだ十ヶ月もある。国公立大学を目指した勉強を続けて、、、、、」

と後半は、具体的な受験の細部にわたる話になった。それは、また機会があったら書きたい。

「後悔しない」と言い切る若さと情熱をうらやましい、と思う反面、その危うさが透けて見えてくる年齢になった。以前は、おじさんっぽいフレーズだと思っていた言葉が、実は、ハードボイルドだったということが分かる年頃になったということか。

ということで、ある有名な映画のセリフを思い出した進路相談でした。